COCと独立経営<963>「認知的不協和」な人いませんか? – 関 匤

この拙稿で何度かネタにしてきましたが、群馬県川場村の「道の駅・川場プラザ」が凄い人気を続けています。今や立派なリゾートです。
以前書いた時は、年間来場者数を200万人と書きましたが、現状は「290万人」を超えているそうです。1998年の開業以来、30年をかけて施設や商品の改善を繰り返してきた運営者の努力の結晶です。

290万人のほぼ全てが自動車来場となるので、平均1.5人乗車として推定で年間190万台の来場です。月間1万6000台前後となります。ガソリン平均20ℓ給油として川場村には「約3200kl」の推定需要が存在することになります。
この村には2カ所のSSがありますが、1SS平均「1600kl」もの潜在需要を抱えています。コストコもビックリでしょう。そんな分厚い需要を持つ川場村が「SS過疎地」に指定されています。

私が元売や有力店の立場なら、建設費用暴騰下にあって国の補助金を使って大型セルフをお安く新設して安値で量販します。どこが過疎地ですか!


なんか頭のいい人たち、社会的地位の高い人たちの考えることに違和感を覚えることが多いですね。
私は昭和のガチガチ規制時代からSS業界に関わってきましたが、毎年、巨額の補助金を投入しては「構造改善」とか「サプライチェーン維持」とか立派な大義名分を掲げていろんなことをされてきたわけです。

行政の業界補助はかつての石油業法から数えれば60年以上続けてきました。しかしいまだに“我々零細事業が苦しんでいる”と言い続ける声が絶えないのは、60年以上も間違ったことをやり続けてきたことになります。

てなことを考えながら書店で立ち読みしていたら、面白い本に出会いました。タイトルは「失敗の科学」(マシュー・サイド著、ディスカヴァー社)。
著者は医療業界、航空業界、グローバル企業等で起こった失敗を丹念に検証しながら、失敗の構造を解き明かしています。対象業界・企業はいずれも優秀な経営陣とスタッフを揃えたエリート集団です。

本書でキーワードとなる言葉が「認知的不協和」です。「認知的」とは本人の教養の高さはもちろん、関連する様々な情報を豊富に知り理解していることです。
一方、「不協和」とは上記の多彩なインプット情報を理解しながら、実際の行動(アウトプット)においてはエリートの威信が邪魔をして、異なった見解や行動をすることです。

最近オールドメディア批判が出るのも、彼らが情報を理解しながら“普通の人”にとって違和感のある見解を述べ続けるからと個人的には思います。

面白い例が紹介されます。旧ソ連の革命時代にレーニンお気に入りの医学者が権威を得ます。バリバリの共産主義者です。
彼は医学界にあって「メンデル遺伝の法則」を否定します。メンデルは「遺伝子は不変である」と唱えていました。ソ連でも数多くの有為な医学者たちがメンデル法則を研究して遺伝子工学の確立に向かっていました。
しかしくだんの医学者は「遺伝子は不変ではない」と言い切りました。そのココロは「我がソ連は改革と前進であり変化し続けるのだ」でした。レーニンの虎の威を借る人だったので、メンデル研究者たちを粛正しました。処刑された人も少なくありません。ソ連の遺伝子研究はエリート医学者の威信によって一気に退化しました。

この人、後に「大躍進運動」の中国・毛沢東から農業指導を依頼されます。「労働者同士が団結することで共産主義は達成される」というマルクス哲学を農業に流用して、それまでの種まき量を単位当たり4倍に増やさせました。稲同士を団結させるという“ナゾ理論”によって、植物同士が栄養を奪い合うことになり作物が大規模に枯死します。大躍進運動どころか1000万人以上の農民が餓死するという“もの凄い成果”となりました。

SSと無関係なことを書いているようですが、「石油村のソ連医学者」みたいな人いませんか?

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