COCと独立経営<964>自由化30年の現実 – 関 匤

2月17日にCOCの新年研修会が横浜市で開催されました。
有料の会ですが50人を超えるCOC会員、オブザーバー(非会員)の方々に参加頂きました。某オブザーバー曰く「元売や大手特約店からは“業者”と呼ばれて一方通行の商談をやっているが、ここでは参加者が企業の大小に関係なくフラットだ」と感慨を述べてくれました。
といって自己満足しているのではありません。本来、SS業界における研修会は主催者のバイアスは異なるものの、参加者がフラットにもの言える場であったのです。

自由化を前にした数年間は、多士済々の方々が本音で自由競争下でのSS経営を論じておりました。相当に過激な論調もあって、それはそれで説得力もありました。往時に比べれば、現在のCOC研修会で話されている内容は“ふつうの商売人の話”に過ぎません。
今年は「自由化30周年」の節目です。研修会講師の方に検証をお願いしました。


1986年に自由化の第一歩である「取扱商品の自由化」が消防法緩和で可能となりました。今はENEOSに吸収されて雲散霧消しましたが、元売の共同石油が「SS業態化計画」をぶちあげました。
石油業法と揮発油販売業法で制約されていたSSのカタチを作り替えようという発想でした。SS店内にバーガーショップやミニコンビニを設置して、後に米国西海岸で存在感を持っていた石油会社ARCOと提携し、コンビニampmを日本でFC展開しました(現在はファミリーマートが継承)。

SS企業個々でも様々な併設業態にチャレンジしました。これらも残念ながらモノにすることができませんでした。背景に土地バブルがあって、資産家のSS経営者はマーケティングよりも“こんな目立つSS作る競争”になってしまいました。

加えてセルフが解禁されていなかったことも大きかったですね。伝統的なSS規模感で併設したこともあって、給油も併設業態も窮屈なレイアウトとなり使い勝手の悪いSSばかりになりました。あげく1つの敷地に不採算な業態が相乗りしてしまい共倒れとなりました。

自由化が間近になった頃は、バブル崩壊の真っ最中でした。輸入自由化=系列破壊を恐れたのでしょう、元売が系列ルート強化のために売れている既存SS周辺に新設SSをぶっつける競争となりました。富士川合戦で水鳥の羽音に狼狽した平家のようでした。


自由化は事前に凄まじい競争市場となっていました。
私がCOCに関わったのは自由化後数年を経た頃でした。セルフも解禁されていました。自由化前後の市場環境は独立経営者にとって間違いなく追い風でした。

この風に乗って大きく飛躍した会社が少なからず存在します。小規模店でも、「考え方の自由化」によって、頭をガソリンから転換して、給油はセルフに任せて本格的カーケアに転換することで大繁盛店を作り上げたSSもあります。

元売からも様々な「脱藩者」が生まれました。先物市場とは別に、売り手と買い手をマッチングする会社を立ち上げた方もいます。早期退職した人たちが数多く先物市場の世界に入りました。業界紙等で語られる建前と異なる元売の本質を知ることができました。
研修会でCOCの会報を配付しましたが、寄稿者に当時商社の流通戦略に関わっていた人がいます。彼曰く、「バブル崩壊の悲観的な世相は彼岸の世界、石油流通の世界は凄い追い風が吹いていた」と述べます。

―あれから30年。往時、思い切ってセルフや新業態に投資し、退職金を投じて新世界を夢見た元売脱藩社員たちが描いた成長という夢は見えません。
ITという道具を、自由化以前の現金カード販促から進化が見えないアプリ値引きをする元売や、「SSの公設民営化」を平気で語る人たちの姿には、もはや何をかいわんやの心境です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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