COCと独立経営<581>われわれ石油販売業者って何? -関 匤

たぶん、これからJXTGブランド統合完了の2020年まで、SS業界は大きな過渡期になります。私が考える過渡期とは、棲み分けへの過渡期です。

よく全石連の幹部さんは、「われわれ石油販売業者は!」と口にしています。では、「石油販売業者」とは、どんな顔をした人たちなのでしょうか。

コストコは“われわれ石油販売業者”なのか否か。ガソリンを販売しているから、間違いなく石油販売業者です。しかし、全石連幹部の“われわれ”にコストコは含まれないでしょう。われわれとは同志的な意味を持つので、厳密に言えば「われわれ石商の」という真意が行間に隠されていると思います。

のっけから国語の解釈みたいになりました。石油販売業者という言葉で以て、みな同じ同志だという共同幻想に陥りがちではないかと考えています。同志的連帯の固まりのようなCOCにあっても、コストコを石油販売業者と認めても同志と思う人は一人もいません。既存SSとは別世界だからです。

では既存SS業態を考えてみると、実は“われわれ”という言葉が皮肉に聞こえるほど似て非なるものです。

系列にもPBにも1SS店があります。家族経営でフルサービス、ガソリン販売量は数十㌔㍑、2㌔㍑ローリーで小口配達、馴染み客の油外収益…と同じ商売です。しかし、系列店は元売あるいは特約店との取引で懇親という名の同志意識がありますが、PBは小さくても複数の取引先とドライな関係です。経営者の意識は、まさに似て非なるものがあります。

まして、複数SSを持つ会社なら、規模なりにさまざまな枝葉(派生事業)が伸びるはずです。直売事業、LPG事業、保険代理業などSS関連の他、カーディーラー、不動産事業、各種リース事業、飲食業等々企業ごとにさまざまなポートフォリオが形成されます。

一方で、企業拡大しても資産すべてを石油事業に注ぎこむ企業もあります。

要は、SSでガソリンを売っているという共通点はあるけれど、企業としての経営の実務と目的には2万なら2万の企業それぞれに温度差があるということです。

東京23区内のSS企業の中には、実態として不動産業者も少なくないでしょう。北海道なら、石油専業でも季節のメリハリで燃料油の総合販売で成り立つ企業もあるでしょう。逆に、灯油の商売が希薄な沖縄では「ガソリン命」の企業もあるでしょう。

石油販売業と言っても、企業の実態を追求すれば、まさに似て非なるものの集合体です。とても“われわれ”のひと言で十把一絡げにできないのです。COCという独立系事業者の集団に関わっているからこそ、実感として言えます。COC、経営者の考え方はバラバラですよ。

ガリバー元売出現とブランド統合によって、さらなるSSとう汰・再編が否応なく進むでしょう。とはいえ、それによって企業ごとの業態別棲み分けが明確になるのではと考えています。「石油販売業者」なるものの分類が出来上がることです。

麻雀で牌を揃えるように、業態別に新たな業界組織とチャネル政策のメリハリが出る、と勝手に考えています。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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