COCと独立経営<544> 公文書で初のPB業態分類 -関 匤

平成二九年丙酉の新年にあたり、明けましておめでとうございます。
公正取引委員会の元売統合審査結果において、霞が関の公式文書では初めてPBを流通主体別に整理しています。本文の前段で業界の実情を述べており、PBを「商社系PB」、「全農系PB」、「独立系PB」に分類しています。非常に喜ばしいことです。
二〇一三年に同じ公取委が出した「ガソリンの取引に関する調査報告書」では、概略「ノンブランドにはPBと無印があって商社や全農はPB、元売や商社マークを掲げないのが無印」といった表現がありました。これではノンブランドSSの実態が不明快であり、とくに無印という古色蒼然の名称は不良品をイメージさせかねません。
半可通の学者やアナリストが孫引きしたら、SSは相当不可思議な流通機構というご認識を拡散すると危惧しておりました。
今回、公取委がノンブランドSSをきちんと分類したおかげで、マーケティング的に理解されやすくなりました。厳密に言うならば、「流通系PB(新規参入)」があります。さらに伏兵として「元売系PB」があります。昭和シェル石油のSC併設業態のファンタジスタとDMガス、CVS業態のストアCです。系列特約店が運営しますがノンブランドです。
元売再編で「業転市場が縮小PB窮地に」とおっしゃる方がいますが、私は全く逆ではないかと考えています。
需要の成熟基調は変わらない上に、日産ノートに象徴される自動車のEV化技術革新が進みます。元売は石油会社ですから燃料油を生産・販売しなければ生きていけません。そこで系列内では選別された有力店はボリューム確保が最大の命題となるはずです。そしてもう一つ考えられるのが、「PB囲い込み戦略」です。以前書きましたが、すでに商社は元売に出荷先を報告しています。だからPBは事実上、元売のサブ店といって過言ではありません。
商社による流通再編です。取引元売の選択肢が縮小する商社は、系列内での優位性を高めるべく元売ごとにPB向け数量の安定確保に動くでしょう。また、先の元売系PBが増加するかもしれません。
同時に、中小系列店の傘下入り促進も進めるはずです。自由化以前は元売と商社マーク並立でしたから、20年かけて一周、振出しに戻ったということです。
PBですが供給面で囲い込まれても、大して気にする必要はないと思います。元売が商社を経由して何らかの圧力をかけることがあれば、それは独占禁止法に訴えるべき問題です。何より、これからはガソリンよりも経営とSSの業態をいかに革新するかが経営者の大課題です。
この春からガス自由化が始まりますが、電力会社がLNG輸入、LPG会社との連携によって、電力・ガス抱き合わせ販売に動いています。エネルギー市場全体の争奪戦に突入して、電力や都市ガスが石油市場に入り込む可能性もあります。
したがって業態転換が大課題です。その時、PBが持つ最大の利点が元売に干渉されない「経営の自由度」です。

COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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