元売各社は好決算見込に沸いています。原油高に加えて、もはや市場原理が機能しないほどの閉鎖的な出荷政策とガソリン価格の高値誘導が追い風となりました。
業転も倉取りを認めない方向に動いています。こんな硬直的な供給体制で、緊急時に柔軟に対応できるのでしょうか。過去の石油危機では業転が緩衝材として機能しました。プレーヤーが多いほど、危機対応力も多様化する筈ですが。この業界は、役人の好きな社会主義管理体制に入ったようです。前にも書きましたが、70年前の配給公団に歴史の針が巻き戻された観があります。
そして、好決算とあってまたぞろ大手特約店に対する「事後調整」の話が蠢きだしています。調整出ているのでしょうね、某特約店が歳末の大盤振る舞いです。
PB経営者が「系列っていいね」と特約店が配付したチラシを見せてくれました。
①チラシ記載QRで会員価格の5円引き
②LINEメール暗証番号でさらに2円
③併設コンビニ商品値引き・増量
④車検大幅値引きとティッシュ15箱
等々…今どき、どこのお大尽ですか。何らかの元売支援なくしてあり得ないでしょう。
誰も覚えていないでしょうが、バブルの前後から自由化が始まり、各系列が競ってガソリン量販に動きました。販促支援が大きいので、多くのPBが系列入りしました。あの頃を思い出します。今の時代のPBは、系列入りしても仕方がないので、SS事業の出口を見つけるか、PBとしての独自事業収益を追求するかに大別されると考えています。
事後調整ですが、某特約店経営者は「うちには話はないが大手には来ている」と話します。事後調整について公正取引委員会は「可能な範囲で明確にして、取引の相手方に示す必要がある」(フォローアップ調査)と明言しています。特定店にだけに行っていたら、独占禁止法上問題になります。
そしてサブ仕切りです。上記の経営者は「某県で卸しマージン8円乗せが当たり前」だそうです。本当ならば、特約店に事後調整があれば系列内格差は10円以上あるということです。
「業転と系列格差が問題だ!」と騒いだのは、どこの誰でしたか?今や、系列大手と業転に価格差がほとんど存在しない状況です。系列業転格差がフラットになって、まだ10円以上の仕入れ格差があるのは系列取引の問題でしょう。価格問題の諸悪の根源は、系列内にありです。
元売―特約店、特約店―サブ店の間で、取引条件がきちんと決められているのか、私には分かりません。しかし、上記のような荒っぽい卸価格があるならば、もはや貸し剥がしでサブ店を追い込みに入っている観があります。
20年間のコンビニFCトラブルは、本部が増収増益にもかかわらず、加盟店が金融危機下のデフレで減収減益したことが発端でした。今の石油業界に環境が似ています。
COCの多くのPBは、かつて系列サブ店でした。彼らはマークを捨てることで異議申し立てをしました。今のサブ店は、どのように異議を唱えるのでしょうか。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局