COCと独立経営<590>時代に適合した系列政策ありや無しや – 関 匤

前回も書きましたが、PB経営者の多くは元は系列店でした。

系列離脱の理由はさまざまあります。20年前の自由化時に一気に増えていますが、JAや商社系PBを除くと、一つは系列政策の変化で系列に居るメリット(事後調整や販促補助)が薄れたこと。取引条件の変化、とりわけ信用管理強化によって自ら離脱した、あるいはマークを撤去された。マーク撤去には、業転買いが甚だしく系列の実態を失ったこともあるでしょう。

もう一つは、系列のくびきから自由になって、思うようにSS経営を行ったケースも少なくありません。解禁時にいち早くセルフ化した人たちが典型です。一滴も業転を買っていないのに、元売や大手特約店が怖がって躊躇している時に率先してセルフ化したために、「零細店ごときが何をしている!」とマークを取られた方もCOCに約2名おられます。

現在、PBにとってガソリンを売る環境は良いものではありません。しかし、20年間、すべての意思決定を自らの責任で行う独立経営で鍛えられたので、これからの経営について真剣に考えています。楽しい話ではありませんが、「出口戦略」にも素早く動いています。

一方、COC内に「ビジネス研究会」を立ち上げましたが、熱心な経営者は投資して新たな事業、収益構築を目指しています。

もちろん、元売再編の系列内変動により、特約店・サブ店にもさまざまな動きが出ています。PBにも系列店にも共通するのは「ガソリン時代終わりの予感」ではないでしょうか。誤解されると困りますが、私は一朝一夕にガソリンが電気に変わるとは考えていません。EVはマスコミが裏付けもなく騒ぎ過ぎです。心臓でありコストの七割を占めるバッテリーの安全性、信頼性、効率性ともに「技術開発中」であり、なによりも1台で1家庭の電力消費するEVですが、その電源の話が出てきません。原発を何基も再稼働するならともかく。

それよりも社会動態変化によるガソリン消費が進んでいると考えています。カーシェアリング会員数の増大に象徴される、車に対する消費者の意識変化を感じます。私のような昭和50年代に社会人になった世代は、第一の目標が車を持つことでした。

しかし、自工会調査によると、現在の若年層で車保有志向は3割です。そして3割は全く無関心ということです。

保有志向の人も経済性と維持費重視が多く、軽自動車増加の背景を裏付けます。彼らのキーワードは消費より貯蓄です。

そして、自動車もSSも成長の原動力となったのが団塊の世代ですが、五年以内に相当数が運転を止めるか、シェアリングに移行するでしょう。社会動態のほんの一つの要因に過ぎませんが、ガソリン業界内での消費漸減が深く静かに進攻しています。

ここで冒頭の話になりますが、系列店で今さらPBになろうという人はそう多くないと思います。その時、再編して立派な社屋に君臨する元売は、時代変化にどれほど的確なマーケティングを提案するのでしょうか。単にガソリンで縛りつける系列政策はメーカーの「配給論理」であり、マーケティング企業とは相矛盾します。

社会動態変化を踏まえて小売業者が次世代にバトンタッチし得る利益業態提案なくしては、再編のネットワーク効率=無為にSSを閉鎖に追い込むだけとなるでしょう。

 COC・中央石油販売事業協同組合事務局


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