資源エネルギー庁の次世代燃料供給インフラ研究会(次世代研)で消防規制緩和が大きなテーマとなりました。問題提起がなされたことで、セルフSS監視や店頭販売などで何らかの規制緩和と、関係官庁の見解の整合性が図られるであろうと想定しています。
SSでのビジネス可能性を拡大させる一方で、新規参入の呼び水になる諸刃の剣にもなります。そこで小さな組合の限界はありますが、すでに参入しているものと新たに参入する可能性を持つ業態を研究しているところです。敵対関係というよりは、彼らの業務と利益構造を調べて、SS事業に応用できる考え方を発見できればと考えています。
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まだ緒についたばかりですが、意外な事実を発見しました。SS併設でない単独店に関しては主にFC契約で、石油企業がすでに事業分野にしていることです。それもエリアで最大規模の加盟店になっている企業が少なくありません。
コンビニや郊外型喫茶業態を10カ所前後経営する会社が少なくありません。中にはコンビニを約40店舗も展開する会社もあります。また、スポーツや居酒屋を直営あるいはFC本部として広域に出店する会社もあります。
イオンやコストコなど直営大手を除けば、街で見かける多くの流通店舗で、実はSS企業が有力な担い手になっていると思われます。多店舗化することで1つの事業部門にしている企業もあります。
COCという小さな世界で見ても、コンビニ、セルフあるいは郊外型喫茶、FC系外食、直営レストラン、直営ホテルなど異業種との接点を持っています。
SS企業の小売り事業多角化は今に始まったことではありません。誰か彼かが何かをやっていて、おそらくSSを経営する企業はこの世のすべての小売業態に絡んでいるのではないでしょうか。とりわけ系列の大手特約店は石油以外に多くの事業接点を持っているはずです。
という業界事情があるのですが、一方で、石商レベルでは「さらなる消防規制緩和は石油サプライチェーンを破壊してSS過疎化を促す」として、新規参入の呼び水となる規制緩和に反対しています。
すでに流通との接点を持つ企業が多いのであれば、規制緩和を逆手にとってSS業界が流通に攻めあがるという戦略はないのでしょうか。山間僻地に配送車両でサービスする地方の食品スーパーがあります。こういう考え方を応用してすでに取引のある流通本部と連携しながら、「SS過疎地」で規制緩和を追い風にした利益モデルが作れないのか。過去の事例を見ても、優秀な日本人経営者はニッチ市場創出に長けていると考えています。
仮に消防規制が緩和されれば、SS業界は三度目の業態転換チャレンジになります。1回目は、1986年の取扱商品自由化でした。セールスルームの利用が自由化されただけで、コンビニ、ファーストフードなど数多くの流通業態複合SSが出現しました。元売も業態事業部門を設置して、併設を推進しました。バブル経済の追い風もありました。
惜しむらくは、給油がフルサービスであったこと、敷地が狭かったこと、ガソリンがもうかっていたことです。給油と店舗で管理が二系統になりコスト倒れしました。敷地は双方の回遊性、動線を相殺しました。ガソリンがもうかるために、いつの間にか併設業態はガソリン集客のアイキャッチ的な位置づけに堕しました。
2度目は、セルフ解禁です。羹(あつもの)に懲りてなますを吹くで、元売のセルフ業態は流通業態よりもカーケア主体に展開しました。そんな中で、旧EMGがセブン―イレブンとドトール併設を展開しました。双方合わせて250SSほどですが、大半が維持されています。管理が店舗レジに一元化されたことと、維持費の多くを店舗収益でカバーできていると想像します。
3度目のチャレンジは、流通であれカーケアであれ、SS企業が提携あるいは独自にSSに収益機能を創造することになるでしょう。意欲的なチャレンジが「過疎化」を吹き飛ばす、規制緩和を起爆剤にしてほしいと考えています。
COC・中央石油販売事業協同組合事務局