朝日新聞社が昨年末に実施した全国世論調査によると、今年の大型連休(GW)が10連休になることについて尋ねると、「うれしい」は35㌫で、「うれしくない」の45㌫の方が多かった。職業別では事務・技術職層の51㌫が「うれしい」と答える一方、製造・サービス従事者層の「うれしい」は35㌫、50㌫が「うれしくない」。主婦層では53㌫が「うれしくない」と答えた。
おそらく、多くの人にとって、「うれしい」と「うれしくない」を分けるのは、「休める」か「休めない」かの違いではないかと思う。やれ旅行だバカンスだとGWを楽しむ人たちを横目に働かなければならない人にとっては(しかも普段より忙しい)“何が10連休だ!”と忌々しい気分になるかも。しかし、飲食業やサービス業に携わっている人たちは、世間様が休みの時に働いてナンボなのだから仕方がない。
10日も市場を閉めているあいだに、世界経済が激変したら対応できないと不安を口にする市場関係者。ただでさえキツキツの学校のカリキュラムが、10連休のおかげでさらにきつくなるとぼやく学校の先生。主婦の皆さんにとってはGWは地獄かも。10日も続けてダンナも子どもも家にいられたんじゃたまらんという悲鳴が聞こえてくる。おまけに、近所のスーパーやコンビニでパートタイマーとして働いていようものなら、ゴールデンじゃなくてブラックだ。
「10連休中に何杯タンクローリーを発注しなきゃならないか…販売量の見立てもさることながら、その分の商品代を連休前に振り込まなくちゃならんのだけど、現金が足りるかなぁ…」とぼやくのは知り合いのGS経営者。まったくです。銀行もガソスタやコンビニと同様サービス業なんだから、連休中も通常通り業務をしてくれと言いたい。元売や商社も、GW中の真ん中あたりで受注業務をしてもらいたい。
“そんなこと言ってたら休めないじゃないか”とおっしゃるかもしれないが、日本は祝祭日が世界で最も多い国で昨年は17日間もあった。そこに、年末年始休みやお盆休み、GWの平日休みも加えると、週末以外に実質25日ぐらい休みがある。1ヶ月平均2日、週末と合わせたら、月の3分の1を休んでいることになる。役所や銀行は、週末も祝祭日もしっかりお休みになるので、10連休もされた日には、仕事や生活に支障が出る。
そもそも、みんながいっせいに休むという、いまの休み方に問題があるように思う。おかげで道路や交通機関はパンク状態、お出かけスポットは大混雑。もっと融通を利かせて、「フレック休暇」が取れるようにすればいいんじゃないだろうか。祝祭日を大幅に減らして、有給休暇の取得率を上げる。「働き方改革」とは、つまるところ「休み方改革」。
今回の10連休を目前にして、コンビニ業界では24時間営業が強制されていることへの問題提起がなされている。「セブン-イレブン」では、この問題への対応をめぐって、社長が交代する事態となった。コンビニ本部は、タイムリーな商品を開発したり、効率的なシステムを考案するなどしてFC店を支援し、集客のための宣伝や企画にも余念がない、石油元売は見習ったらどうか、と取り沙汰されてきたが、ここへきて、FC店主たちの“叛乱”が野火のように広がっており、決して蜜月関係ではなかったことが明らかになった。このまま行くと、「定休日」を設けるFC店も現れそうだ。
GWをめぐる世間の騒ぎをよそに、GS業界は、カレンダーにどれだけ赤い数字が並んでいようと、ただひたすら営業を続け、客を待ち続ける。それしか能が無い。とりわけ、PB店はだれかから強いられてそうしているのではない。やりたくて、やっている。連休中に売上げが伸びれば「うれしい」し、減ってしまうようであれば「うれしくない」。市況が良ければ「うれしい」し、悪化すれば「うれしくない」─それだけのことだ。
セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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