vol.695『リユース』

『東京・銀座にある中央区立泰明小学校(334人)が、4月に入学する新1年生の60人から、イタリアの高級ブランド「アルマーニ」がデザインを監修した「標準服」に変更する方針を示し、保護者から疑問や批判の声が上がっている。区教育委員会によると、標準服は上着やシャツ、ズボンなどをそろえると計約4万5000円と現在の2.5倍になり、セーターなどを加えると8万円を超す』─2月9日付「毎日新聞」。

連日、ワイドショーなどで報じられ、「高すぎる」、「そもそも変更の理由がわからない」など批判が噴出している。校長は、「時代の変化を体感させつつ、泰明小学校の児童であるというアイデンティティを育成していくための一環」と説明。さらに「学校とは、学問だけでなく、倫理的な考え方や、集団生活でのあり方も同時に学ぶ場であると考えている。『服育』という考えに基づき、装うものからも学びの機会を得てもらいたい」と持論を語っている。

私立の学校ならいざ知らず、公立小学校で8万円の制服はさすがにやりすぎでしょ、とも思うが、銀座が学区という特殊性ゆえに、学区外からの通学も許される「特認校」で、お金持ちの子息も多く通う学校でもあるそうだから、ブランド力を高めようとして、こういうことを思いついたのかもしれない。しかし『服育』って一体なんだ?教育ってものは外見ではなく、中身じゃないかと思うんだけれど…。

一方、香川県高松市には、学生服のリユース事業を営む「サンクラッド」という会社がある。2013年に馬場加奈子さんという3人の子どもを持つシングルマザーが設立した会社で、不用になった学生服を買い取り、地域のクリーニング店などと連携して補修、洗濯を行ない販売するというビジネスモデルで、「学生服リユースショップ・さくらや」をフランチャイズ展開している。馬場社長曰く「塾や習い事など教育費は毎年増えるし、成長期の子どもは、すぐ服のサイズが合わなくなります。学生服やセーラー服の買い替えで1万数千円もの出費は悩みです」─。

働いているので学校行事に参加できなかったり、転勤者が多いので隣にだれが住んでいるかも分からない。そのため、ひとむかし前のような“おさがり”のネットワークが無いことに気付いたことが起業のきっかけだったそうだ。ビジネスのタネっていろんなところにあるものだなと思う。私の家の近所には、子ども用自転車のレンタルをやっている店がある。自転車も子どもの成長と共にサイズが変ってゆく代物だ。そんな自転車を引き取って整備し、貸し出してみると“どうせすぐに乗れなくなるんだから買うのはもったいない”という人が結構いて、副業としてはまあまあだという。

「まだ使えるから捨てるにはもったいない」、「誰かに使ってもらえたらいいのに」という意識の広がりや、新品では見出せないバリューを中古品に見出す価値観がリユース市場を成長させており、市場規模は約1.5兆円といわれている。特に店舗を持たない「ネット型」は急成長している。GS業界では、いまのところせいぜい中古車を売ったり貸したりする程度だが、そのうち消費者ニーズをつかんだ、GSならではの面白いリユース事業が開発されるかもしれない。あるいは、系列・非系列の枠を越えて、GSの計量機や精算機、洗車機などの部品や工具・什器などを融通し合えるような仕組みがあれば、運営コストをずいぶん節約できるだろう。

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  セルフスタンドコーディネーター 和田信治
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