岩谷産業(間島寛社長)はこのほど、イワタニレポートNo.466を発表した。テーマは「再生医療およびコロナワクチンへの取り組み」。
同社では、産業化が進む再生・細胞医療分野において、細胞保管・輸送に使用する液化窒素やドライアイス、細胞培養・製造に使用する炭酸ガス、細胞保管・輸送システム、細胞加工設備の供給を実施。
さらに、大学との共同研究、再生医療関連企業との業務資本提携の実施や大阪に2024年に本格稼働する中之島未来医療国際拠点へ設立者として参画するなど、再生医療の産業化への貢献と事業拡大を目指して取り組んでいる。
同社は、トッパン・フォームズと共同で、再生医療分野での利用が可能な新たな輸送温度管理システムを提供。
同システムは、再生医療分野で細胞・医薬品を保管・輸送する際に、細胞・医薬品が収納された容器内外のリアルタイムな温度管理を可能にする。同社が提供する液化窒素を使用してマイナス150℃以下の環境を保つ「ドライシッパー(細胞輸送容器)」とトッパン・フォームズが開発した温度ロガー(温度管理システム)と温度管理プラットフォームを利用し、マイナス150℃以下の低温環境で温度・位置情報のログデータをリアルタイムで取得できるようになった。マイナス150℃以下の温度に限らず、マイナス70℃のドライアイス温度帯や常温帯の温度管理にも対応。
2020年4月には、大阪大学大学院工学研究科に「細胞保管・輸送テクノロジー(岩谷産業)共同研究講座」を開設した。
同講座では、大阪大学が保有する再生医療製品の細胞加工施設や保存技術、細胞の評価技術と岩谷産業が有する低温技術と経験を活用することで、細胞の保管・輸送における技術・装置の開発を行っている。また、京都大学とも再生医療分野で共同研究を行うなど、医工学分野における学術の発展や技術課題の解決を目指してさまざまな取組みを進めている。
2020年7月には、細胞を立体的に積層するバイオ3Dプリンティングという独自の技術を活用して革新的な再生医療製品の実用化を目指すサイフューズと、再生・細胞医療分野における業務資本提携を締結した。
岩谷産業は、独創的なバイオ3Dプリンティング技術で血管再生、骨軟骨再生、神経再生などの再生医療に用いるこれまでにない3D細胞製品の開発に取り組んでおり、同社が培ってきた低温保管・輸送インフラの技術・知見・ノウハウを最大限に生かすことで、新産業の創出と市場発展に貢献していく。